バイオリン・チェロ・ビオラなど弦楽器を買い取って貰う前に読んで損は無いよ

バイオリン・チェロ・ビオラなど弦楽器を買い取って貰う前

こんにちは。8年連れ添ったバイオリンから新しいバイオリンに鞍替えした@マナです

新楽器を購入した先の工房さんが「ウチでは買い取れない」と言うので、東京の楽器店や工房に買い取り査定巡礼の旅をして参りました。

この旅でたくさん勉強になったので、各工房の査定額なんかも交えてご紹介したいと思います。
これからバイオリン・チェロ・ビオラなど弦楽器を買い取って貰おうと考えている人の参考になれば幸いだ。

手放すバイオリンの製作者・スペック

製作地:イタリア・クレモナ製
製作者:数年前に亡くなりました、コンクールなんかで賞取ってた人
製作年:1990年代
購入した当時の金額:86万円
購入した工房:東京都内の某弦楽器店
楽器の状態:細かい傷はあれど大きなダメージは無し

・・・と、こんな感じです。残念ながら証明書がありません。購入した時は楽器購入に関して無知だったので、証明書のことまで気が回りませんでした。
後で詳しく書きますが、このバイオリンの製作者を知る職人さんいわく「この人が作ったこの年代の楽器なら必ずあるはず。渡さなかった理由はもしかしたら・・(後ほど詳しく解説)」

買い取り査定1軒目:この楽器を購入したS楽器店

ということで昼過ぎに東京に到着。ネットで「バイオリン 買い取り」で調べた楽器店と、紹介してもらった信頼できる工房など合計4軒を回って買い取りしてもらうスケジュールを組みました。なるべく高く買い取って欲しいからね。

ということでまず1軒目は、この楽器を購入した東京都内の楽器店。

「当店で購入した楽器は購入時の80%で買い取らせて頂きます」を謳い文句にしている楽器店です。

それが本当なら86万円の80%だから買い取り額は68万8千円になるはず。
今使っていない同S店で買ったセカンド弓(36万円)も売りたいから、バイオリンと弓を合わせれば買い取り額は97万6千円になるじゃん。
調整修理代を引かれても、90万円くらいにはなるんじゃないかと。それなら満足だから即売りだな!と思ってた。

でも現実は大きく違ってた。


S楽器店の職人「買い取り額56万円ですね」

私「え?買い取り80%ってネットにも書いてますよね」

S楽器店の職人「これは楽器の状態が本当に良い場合です。ほら、ここにちょっと傷がありますよね、あとはここも・・・」


という感じで、いろんな理由を付けて買い取り査定を低くしようと頑張っているのが見え見えでございました。いや、別にちょっと塗装はげたり細かい傷があるだけで、実際はほとんどダメージ無いんですけどね。
買い取り額56万って、購入額の46%じゃん。なんだよ80%の買い取りって。

よーく考えたら「買った値段の80%で買う」なんて、そもそもそんな美味しい話があるわけない。

楽器店は少しでも利益を上げたいわけで、買い取っても売れなければお店の赤字になるわけだ。それなら頑張って買い叩いて安く仕入れた方がリスクは少なくて済む。

買い取り額80%ってのはあくまで建前で、こう書いておけばこれに食いついて安心して楽器を買ってくれるお客さんは増えるだろう。でも実際買い取る時は経年劣化でダメージは出てるだろうから、いろいろ理由を付けて安く査定できるだろう・・・、とこんな筋書きだろう。まぁ56万円でも良い査定な方かもしれない。でもこんな楽器店で今後買うことはないだろう。心当たりある楽器屋さん、信用失っちゃうよ。

とりあえず「他の楽器店にも査定予約を入れているので保留で」と言って次の楽器店へ。

2軒目:東京都内の個人弦楽器工房

ここはプロオケの一流奏者達も御用達。知る人ぞ知る弦楽器工房。

ここでバイオリンの買取査定をしてもらうつもりは全くなくて、本当は弓の毛替えだけ依頼するつもりでした。
でも、せっかくだから自分の楽器がどのくらいの価値があるのか査定してもらいたくて聞いてみることに。


職人さん「あ、これ、本物ですね。ご本人とも会った事あります。イタリア人なのにちょっと暗いかたなんです。」

職人さん「この職人さんの作りって、ココとココに特徴があるんです。そしてその弓はこの真ん中にこういう特徴があって、使ってる木はこういう材質で・・・」


すごい・・。見てちょっと触った瞬間に楽器の素性を全て言い当ててくる。
噂通りすごい情報量を持っている職人さん。
ここで、1軒目の査定額を教えてみることに。


職人さん「えっ?56万円??それなら私がすぐに買いますよ。むしろそれより良い条件にしますよ。」

職人さん「というか、この楽器、もっと調整して弾き込めば化ける可能性大ですよ。売らない方いいですよ!」

職人さん「これが56万円なら、ほんと喉から手が出るほど欲しいです。というか勿体ない。全然変わる可能性ありますよ!」


マジすか・・。っていうか新しい楽器買っちゃったんですけど・・・。買う前にこの工房に相談に来れば良かったと思っても後の祭り。

この時は「楽器って出会いとタイミングだなぁと」改めて思った。

その後も弦楽器事情の裏話とか楽器の事を1時間近くずーーーっと教えてくれました。

14時から別の楽器店の査定予約も入れていたので、弓の毛替えをお願いしてこの工房は一旦退出。

3軒目:新宿のバイオリン店

新宿のバイオリン店K

ということで新宿。有名バイオリン店としておこう。複数店舗を展開しているし、社員の数も多い。店員は若いけど弦楽器のことはよく分からん~~って感じなのはちょっと話して分かった。

早速査定をお願いしてみた。


新宿のバイオリン店「この楽器、いくらで買いました?」

私「122万円です」(試しにちょっとふっかけてみた)

・・・・・査定中。3分後・・・・。

新宿のバイオリン店K「ウチだと買値の1~2割くらいなんです。あと、ここに傷があったり、薄く割れ?っぽいものもあるので査定は下がりますので・・・」

「買い取り値は70,000円です。」

私「ふぁっ?」


店員が電卓打って「70000」って見せてきたとき、「ケタ間違えてません?」って聞いちゃったよwww
もしこれで買い取らせた場合は、この楽器店は余裕の100万円超えで売るんだろう。

考察

「7万円?ぼったくりか!」と思われた人もいるかもしれないので、私なりの考察をしておく。

東京の一等地に店を構えて、複数店舗と何人もの人手を抱えていれば、その会社はすさまじい固定費がかかっているわけだ。
だから、買取査定はおもいっきり低く叩いて、かなり利益率を高くして売らないと、会社としては運営していけないのだろう。

だからぼったくりではなく、あくまでこの楽器店が会社として運営していくための査定額。楽器に対して無知で初心者な人を相手に商売して成り立つビジネスモデルなんだろう。

ここで分かったのは、「複数の店舗と支店、複数社員を抱えている楽器店では高く買い取ってくれないし、まともな楽器に出会える可能性も極めて低い」ということだ。

そりゃそうだよね、家賃と人件費が楽器の値段に上乗せされるわけだから。一等地に店を構えているような楽器店や工房は、楽器を買うにしても仕様や性能の割に高い値段が付けられていることになる。

3軒目の買取査定体験でこれが分かったので、4軒目に査定に行くお店はキャンセル。この楽器店も、一等地に2店舗店を構えているからだ。そんな楽器店が高い買取査定をしてくれるわけがない。

ということで2軒目の信頼できる工房に戻る

ということで先ほどの工房に出戻り。ここの職人さんは私が売る決断をするまで「もったいないですよ!」「本当に56万円でいいんですか?」と何度も聞いてきたり、楽器をちょっと調整して音質がこう変わるなどを体験させてくれたりと、いろいろよくして頂きました。

結局は弓とセットで64万5千円で買い取って頂くことになりました。(弓はその工房の在庫品と交換。セカンド弓として使用していくことに)

職人さんには「まだまだ変わっていく良い楽器」とお墨付きを頂きましたが、既に新しいバイオリンを買ってしまっています。2挺(丁)もち続けることも考えたんですが、アマチュアだし両方弾いてあげる時間も無い。

それよりだったら、信頼のできる職人さんに預けて生まれ変わって、次の奏者に弾いてもらった方がこの楽器にとっても良いだろう、と思ったので、ここで売る事を決心しました。

この工房の職人さんには本当に感謝です。

まとめ

買い取ってもらったバイオリン

ということで、今回のバイオリン買い取り査定巡礼で得た経験と学びをまとめておきます。

  • 複数店舗経営、好立地店舗、複数社員いる楽器店では経営固定費が高いから買い取り査定額が極めて低い
  • ネットで「買い取り額は元値の80%」とか高めに書いている買い取り額はあてにならない。現実は半値以下と心得るべし。
  • 狙い目は個人の楽器工房、一流演奏家が通うようなところを情報収集することがベスト
  • 新しい楽器を買う前に今持っている楽器をよく調べたり調整に出す(ただし本当に信頼できる腕利きの職人に限る)
  • 地方へ行くほど楽器の知識が低い奏者が多いから楽器店側もライバル少なくやりたい放題(悪い意味で)だから、売るなら知人・友人か、店舗同士の競争が多い都心部が吉
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  • 楽器をお店に預けて、販売代行をしてもらう方法もある。手数料はかかるが値付けは自分で設定できるから希望した売値が確保できる
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  • 信頼できる腕の良い弦楽器職人・工房を時間をかけて情報収集しておく
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  • 弦楽器は出会いとタイミング
  • 出会いとタイミングとはいえ、どんな楽器に出会うかは自分の情報収集力と師匠にも左右される
  • できるだけ一流の奏者に師事しておくと良い。良い情報が得られやすい

良い弦楽器工房と職人さんに出会えたおかげで、今回はそれなりに満足できる販売結果でした。もしかしたら、もっと探せばさらに高い査定を付ける人もいるかもしれません。
私の場合は信頼できる人に譲ることが出来たということでも安心できたことは、精神的に大きいと感じています。

楽器買った時に証明書が無い理由

楽器を買った時に証明書が無かった理由ですが、これは2つの可能性あります。

1つは、将来的に証明書が無い事を理由にして買い叩く為(でも証明書は購入した楽器店で隠し持っておいて、自店で買い取った時に証明書付きでオールドとして高く売るため)。

もう1つは、お店側が単純に証明書を付けるのを忘れた。

8年も前のことなので、今となっては事実関係は定かじゃありません。ですが、証明書は制作者本人が生きていれば、購入した楽器店にお願いして再発行してもらうこともできます。または仕入れ地に直接買い付けに行くような職人だと、現地で製作者に証明書発行をお願いしたり、亡くなっていた場合は同じ工房か友人、同じ流れをくむ職人に証明書を書いてもらうこともできそうです。

ただし、これは本当に現地に詳しい職人さんにしかできません。こういう職人さんのコネクションを持っておくことも、良い楽器に出会える可能性を高めることにつながると思います。

以上、これからバイオリン・チェロ・ビオラなど弦楽器を買い取って貰おうと考えている人の参考になれば幸いです。

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