口コミを作る基本

先日「口コミが広がればね」と言うお店の経営者ほど「モヤモヤしたもの」を信じてるで、「口コミ欲しい」って言うお店の経営者さんほど大したことやってないと書いたんですが、こういう人って口コミが勝手に起こるものだと思っちゃってるんですよね。

もっと言うと、

  • 「良い仕事をしていればお客さんは勝手についてきてくれるはずだ」
  • 「良いお仕事をしてればお客さんが口コミしてくれるはずだ」

としか思ってないみたいで、

どうすれば口コミが起こるか?どうすれば口コミが起こせるか?
ってことはま~~ったく考えていない。

だから「口コミが広がればね」って言葉を聞くと、「大丈夫かなぁ・・」と心配になるんですよ。

もうね、こういう人は
ものごと分析する習慣が無い。ギャンブルにハマりやすい傾向有り

と認定する。

だって、口コミが起こる原理の分析は、口コミが起こってる人気店に実際に行って観察すれば分かるんです。
それを見ても口コミが起こる原理に気づけない、分析できないのは、商売やってる経営者としてどうかな~と思うわけです。

そして気付けないからモヤモヤッとしたもの(例えば普通のチラシ)を「良さそう」「みんなやってるから」と思ってお金を突っ込む。これらは広告会社の飯代になっているわけなので全てが悪いわけじゃないんですが、大して考えもせずによく大金を突っ込むなぁと。チラシもちゃんと戦略と手法がしっかりしていれば効果は出るんですが、そういうことが出来ない人が作るチラシは酷いもんです。だから何やっても大した効果が出ないです。

ところが当の本人は「意味がある」「やってみなきゃ分からない」と思い、心のどこかでは「うまくいく」と信じてお金を突っ込む。
一時的にはちょっぴり結果が出ちゃうので「次はもしかしたら」と同じ事を繰り返す。

これってまさしくギャンブルにハマっている状況と似ていると思うんですよ。

すまぬ、あまりに浅はかな商売してる人に出会っちゃったので、悲しくなって勢いにまかせて書いてしまいました。

じゃ本題ですが、

口コミを起こすには「お客さんが他の人に言わせる要素を演出する!」

↑まさにこの事に尽きる。

お客さんの多くは、自分の思ってることを他人に上手に伝えられないし、伝える為の要素も知らないんです。

じゃぁまず口コミが起きない例。

ラーメン好きなAさんがいたとしましょう。

Aさんがどこかのラーメンを食べて「すごく美味しかった」と思い、あなたに「あのラーメン屋さん美味しかったよ!」と言ったとしましょう。

ところがそのラーメン屋さんがいくら美味しかろうが、Aさんは「あっさりしてて美味しい」とか「味付けが丁度いい」というありふれた言葉でしか、そのラーメンの良さを伝えることはできません。

これだと、あなたがAさんから「あそこのラーメン美味しかった」と聞いても、どう美味しかったかちゃんとイメージ出来ませんよね。

人によっては「ラーメンって好みもあるしなぁ」と思うだろうし、「Aさんは自分と味の趣向が全然違うからなぁ」と思うかもしれません。
こんな感じだと、「あそこのラーメン美味しかった」と聞いたとしても、あなたはそのラーメン屋さんの魅力がよく理解できないから、食べに行く可能性は低くなるわけです。

美味しいラーメン屋さんのクチコミはAさんでストップ。これ以上広がりません。



次に口コミが起きる例。

数日後Aさんが別のラーメン屋さんに行って、「まぁそこそこ美味しかったな」と思ったとします。

そのラーメン屋さんには

「当店は自家製麺の小麦は北海道産の「春よ恋」を使っていて、麺のつるつるモチモチさが自慢です!」

と店内にデカデカとアピールされた張り紙が、誰の目にも付くように壁に貼られてありました。
もちろん、Aさんもその張り紙を見ました。

そして後日、あなたに、

「今度は別のラーメン屋さんに行ってみたけど、そこそこ美味しかったよ。その店は自家製麺で、「春よ恋」っていう小麦粉使ってるんだって。確かに麺はつるつるモチモチしてた」

と伝えました。

それを聞いたあなたは、

「え!春よ恋って、鉄腕ダッシュのラーメン企画で使ってる小麦粉だよね!それ興味ある!食べてみたい!」

となり、あなたはそのラーメン屋に食べに行く。
その店のラーメンの味が気に入ったあなたは、今度は他の人に

「あそこのラーメン屋さん、美味しいですよ。「春よ恋」っていう小麦粉使ってる自家製麺で、すごくつるつるモチモチした食感がたまらないんですよ。おすすめ!」

と伝えたくなります。
そしてこの事を聞いて「それは興味あるな。行ってみたいな。」と思う人、食べに行く人、伝える人がどんどん増えていきます。

これが口コミが起こる原理であり基本。

このラーメン屋さんが口コミで広がった理由は、そのラーメン屋さんが「自家製麺に「春よ恋」を使っている事」をお客さんが分かるように演出したからなんです。

もしこのお店が「自家製麺・春よ恋を使っている」と演出していなければ、お客さんは分からないし、それを他の人に伝える事はできません。
ところが、お店が演出したからお客さんもその事実を知ることが出来た。

つまり口コミが起こるお店って、「誰かに言いたくなる演出と特徴の言語化」が明確にされているんです。「言わなきゃ伝わらない」ってのと同じ。そしてそういった施策が、一つだけじゃなく何個もされているんですよ。

腕が良い・美味しいお店でも口コミが全く広がらないのは、こういった演出と特徴の言語化が全くされていないんですよね。

そしてこの事に気づいていない人が、「口コミが起こればね」なんて”待ちの言葉”を言ってしまうんです。

これに気づいていないのは飲食店だけじゃなくて、美容室も多いですね。
お店出して誠実にやっていれば、お客さんがいつか気付いてくれると思っているんでしょうね。

でもお客さん側からみると、どこも大差無いように思ってますよ。
なぜなら、お客さんにちゃんと伝えていないから。

人間って面白いですよね~。
言葉で動くんですもの。

お店の腕が良い・美味しい・サービスが良いことは大前提になりますが、あとはしっかり演出と特徴の言語化さえしておけばお客さんは来ます。

逆に演出と特徴の言語化をしてもお客さんが来ない場合は、単純に店の腕やスタッフの対応、立地、市場などに問題有りってことになりますね。

原理は意外と単純。でも行うは難し。

とはいえ原理を知ったからといって、すぐに出来るもんじゃありません。
普段からものごとを分析する習慣が無いと、難しいしできないもんです。