病院待ち時間解消されない理由

病院の待ち時間解消、日本の国民皆保険制度がある限り無理らしい。

先日堀江貴文さんのブログで、慈恵医大病院で散々待たされた挙句診察受けられず1080円払って次の仕事に行った話という炎上ネタが投稿されていました。

賛否両論あったんですが、ブログ文末で堀江さんがこのように述べている。

おそらく泌尿器科なので、急性の尿道結石とかで緊急の患者とかがどんどん、入れられて予約入れてる緊急度の低い患者は後回しにされるモデルなんだろうけど、これってどうになからなんのかね。

そもそも愚痴を聞いてもらいたいだけの老人とかさ、分からない事を丁寧に説明するだけの説明員とか医師免許ナシでもできる仕事とかあるといいのに(単にネットで調べたことを言ってるだけでも十分役に立つとおもうんだが)。他にも現在の混雑状況をウェブで見られたりとかメールやLINEとかで診察可能な時間を教えてくれたりとかね。

他にもやることいっぱいあると思うんだ。今回も物凄い待たされてストレスだったので、なんとかするベンチャー企業立ち上げようと思う。こういう風にして社会問題をどんどん解決していきたいと思っている。

診察を受ける側からすれば、堀江さんのように考える人は多いでしょう。私も待ち時間は基本的に人生の時間を浪費していると思う。なぜ病院はいつもこう混雑しているのだろうと、行くたびに思う。しかし、医師側からすれば病院の待ち時間はどう思っているのだろうか?

病院待ち時間を解消することができないか、医師と話し合ってみました。

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病院の待ち時間解決は出来るか

Q:
診察予約していても普通に1時間~2時間以上待たされることが普通ですが、なぜ病院の待ち時間は長いのでしょう?


A:

自分の症状や身体の状態を簡潔に説明できない患者さんが多いことが問題の1つ。そうなると誤診を防ぐために、医師側がいろんな問診や検査をせざるを得ないんですよね。

そうすると、診察時間一人5分で考えていたものが10分になったりします。一人につき5分オーバーです。そういう患者さんが30人もいると、あっという間に90分遅れです。後ろの人になればなるほど待ち時間は長くなる。大学病院の外来だと、毎日100人以上の患者さんが来ます。仮に半分の50人が5分ずつオーバーしたら、250分(4時間)の遅れですしね。

私達はトイレに行く時間もありません。お昼を食べるのも午後2時を過ぎることがよくあります。精一杯やっているつもりですが、医師の数に対して訪れる患者数も多いので、今の状況ではどうにもならないのです。


Q:

堀江さんが「待ち時間が分かるシステムがあったらいいのに」と言っていますが、調べたところ携帯やスマホで待ち時間を確認できる「いま何番?」というシステムが既にあるようです。

また東大とNTTドコモで共同開発された、病院の1.4キロ圏内から携帯端末で受付が出来て、待ち時間が分かるシステムもあるようです。

これについてはどう思いますか?


A:
良いシステムだと思います。でも、問題が2つありますね。

1つは、待ち時間外出中に、病状が急変してしまった場合です。そういう事態が起きた場合、もし病院の待合室にいればすぐに対応が出来て、その患者さんは助かったかもしれませんし。仮にこれで亡くなってしまわれたら「病院の待ち時間システムのおかげで亡くなってしまったんだ」と言う人が出てくる可能性が高いです。こういう問題が1つ起こるだけで、システム全体の見直しをする必要が出てくる可能性がありますね。

2つ目は、看護師さんが待合室にいる患者さんの様子を見て「あの患者さんは緊急性が高いです」と教えてくれることもあります。医師はずっと診察室の中にいますから、待合室の様子は分かりません。患者さんが外出していると、待合室にいる看護師さんがそういうシグナルを見逃してしまって、取り返しの付かないことにも繋がる可能性はあります。

でも緊急性の高い患者さんの場合、普通は外出することが出来ないくらい体調が悪いと思うので、院内にて待つ事になるでしょうね。

待ち時間システムは今後もっと普及して行くと思います。


Q:

もう患者の数に対して、医師の絶対数が少ないということなんですね。

じゃぁ、仮に健康保険加入による診療負担を5割にしたら、患者さんも減って待ち時間も少なくなって、良い医療が出来るってことになりませんかね?


A:

ん~。逆に聞きますが、医療費負担額が多くなってしまって、「自分の親が病院に行けない、もしくは自分が病院に行けない」となったらどう思いますか?きっと困りますよね。

例えばアメリカ医療は任意保険ですから、保険料も払えない人は病院にかかることが出来ません。そういう背景から、病院に行けなくて病に苦しんでいる人は、知られていないだけで日本よりも多いと思います。

日本は国民皆保険ですので、病気になった場合に多くの人が医療の恩恵を受けることが出来ますよね。その代り、患者数が多くなりますから待ち時間という問題はどうしても付いてきます。待ち時間が無い代わりに医療費が高くなるのと、どっちが良いですか?例えば、待ち時間が少なくなる代わりに、月に30,000円かかっていた医療費が50,000円になるとか。または、日本に国民健康保険が無くなって、アメリカのように毎月2万円の医療保険支払う生活。

マナ:

・・・待つ方を選ぶと思う。

A:

そうなりますよね。待ち時間が長いと思う気持ちも分かりますが、日本は医療制度に恵まれていて、その恩恵を受けているということも忘れてはいけないと思います。

病院は何年も前から、待ち時間がもっと短縮が出来ないかいろいろ試行錯誤しています。患者さんは自分の体の不調をしっかりと理解して欲しくて、話が長くなってしまうことがあります。

でもこれは仕方がないことです。誰だって健康になりたいと思っていますからね。患者さんの伝えるスキル、医師側の問診スキル両方が高ければ、予約したのに待ち時間が長いということは少なくなると思います。

ですが、人間が100人いれば100通りの人がいます。病状も様々ですから、診察する時間も一定には出来ませんからね。

まとめ

病院の待ち時間が長い理由は、国民皆保険制度で患者数が多いことに対して、診察する医師の数が足りないためどうにもならないということです。かといって患者数を減らす為に医療費負担を上げれば、病気で苦しむ人が増えていく。待ち時間が長いと不満を言う前に、日本の国民皆保険制度に感謝すべきということです。

そして病院の待ち時間案内システムは良いものであり、今後どんどん普及していくと思われます。

堀江さんが開発せずとも、既に先駆者がいるようです。例えば函館五稜郭病院で導入しているシステム。受付でQRコードを渡されて、待ち時間をスマホや携帯からチェック出来ます。診察が近づいたら、メールでお知らせもしてくれるというものです。診療予約2013という、開業医向けのシステムも既にあるようです。

既にこういう便利なシステムがあるのに、導入していない慈恵医大のような病院や開業医がまだまだ沢山あるということでしょう。

どうしてこのシステムが普及していないのでしょうね。私が患者の立場だったら、「あの病院は待ち時間案内システムあるんだ。じゃぁその病院に行こう」と思うんですがね。

いや、もしかしたら混んでいる大病院ほど「これ以上患者は来なくていい」と思っているから、あえてシステムを導入していないのかもしれませんね。大病院の場合、患者満足度など考えなくても、お客さんは絶えないでしょうからね。