「もうけがない」
瀬戸内の海が綺麗になりすぎて、魚がとれなくなっています。
海の窒素量が60%減少
瀬戸内海では高度成長期時代、工場排水や生活排水の影響で赤潮が頻発。
1979年施行の「瀬戸内海環境保全特別措置法」(瀬戸内法)で工場排水制限や下水道整備などを進め、 2001年には窒素やリンの総量規制も定めました。
その結果、30年後には海中窒素量が60%も減少。海水の透明度も大阪湾で3メートルから6メートルに広がっています。
海が綺麗にになることは一見良いことのように思えますが、漁師からはこんな声が。
「10年前は1日に7~8万円分の水揚げがあったのに、今は2万円程度。船の燃料代も高い」
海が綺麗になりすぎると、魚のエサになる海藻類やプランクトンが増えません。結果的に漁獲量も減ってしまうのです。
工業・生活排水の規制も原因と言われていますが、他の原因もあります。現在は川がコンクリートで覆われ水田も減少し、川の土に含まれている窒素やリンの溶け込みが少なくなったとも言われています。
魚が育つには、山から川、川から海へ流れる水に豊富な栄養が必要なのです。
漁師が山で植樹を進めている
和歌山県では漁師が山で植樹を進める「漁民の森」運動が行われています。森から流れ出すリンや窒素によって海が豊かになることを狙った活動です。
活動を続けて15年経過していますが、海での効果を感じるまでには至っていないそうです。
それでも森は着実に成長しており、「自分の次の世代が漁師になる頃には、植えた木々は大きく育ち、森の恵みが海へ注いでいるはずだ。豊かな海はきっと戻ってくる」と信じ、植樹活動を続けているそうです。
漁師が山で植樹を行う運動は、1990年代から全国各地で行われているようです。
【幸呼来】
キレイなのことが必ずしも良いというわけじゃないんですね。清潔な生活環境の整備で、アトピーやアレルギー患者も増えているそうです。
無理にきれいにするのではなく、自然との全体的な共生が大切なんだと思いました。