人間は何かを失う場面に遭遇した場合、破れかぶれな賭けに出る人が多いという実験データがあります。
これを見つけたのがプレジデントの「「撤退」の意思決定が難しい三つの理由」エントリー。
面白いと思ったのでシェアしておきます。
トゥベルスキー&カーネマンの心理実験
何かを失う状況に置かれた場合、破れかぶれの賭けに出る傾向が大きいことを立証したのが、トゥベルスキー&カーネマンの心理実験である。
プレジデントの例だとピンと来にくいため、ここではもうちょっとアレンジしてご紹介します。
実験アンケート
今から以下を想像して欲しい。
あなたはあるビジネスに取り組んでいる。事業を継続するためにプランAとプランBのどちらかを選択せざるを得ない状況であり、それぞれ効果が違います。あなたはどっちのプログラムを選ぶか、直感的に答えてください。
問1
①:プランAを採用すれば、確実に2000万円儲かる。
②:プランBを採用すれば、3分の1の確率で6000万円儲かり、3分の2の確率で6000万円損する。
問2
①:プランAを採用すれば、確実に4000万円の損失が出る。
②:プランBを採用すれば、3分の1の確率でこれ以上損失を出さずに済むが、残り3分の2の確率で6000万円の損失。
答えは決めましたか?直感的に答えてください。
実験結果
問1・・・72%の人が①を、28%が②を選択。
問2・・・22%の人が①を、78%が②を選択。
という結果が出たそうだ。それぞれの問いの表現方法は違うが、期待値は同じである。なのに人間は「得ること」に関しては確実な方を選択する傾向が強く、「失うこと」についてはリスクを伴う『賭けの選択』をする傾向が強いらしいです。
ん、この状況、どこかで見ているような・・・、そうか、「アレ」だ。
撤退の意志決定ができない会社
「アレ」とはうちの会社でやっている赤字事業だ。
僕ら下の側からは「上層部はいつまで赤字を垂れ流しているんだ」と思われている事業。
ところが上層部側からすれば、一度始めた事業は赤字垂れ流しであろうが、なかなか撤退の意志決定に踏み切れない。それはつまり、上層部が「失うこと」の選択肢に直面しているからである。
こんな感じだろう・・・
①:この事業から撤退すると、撤退した時点で80億円の損失が確定。
②:このまま事業継続すれば、80%の確率で100億円の損失を被るが、20%の確率で収支トントンにできる。
おそらく上層部は毎年決算期にこの選択肢を突きつけられ、トゥベルスキー&カーネマンの心理実験にみられるように②を選択しているということだ。
下手に「もしかしたら持ち直すかも」というわずかな希望があるうえに社員が頑張っているため、撤退を決定できずについつい破れかぶれな賭けに出続けてしまっている。これを10年継続してきたので、赤字額は膨大になっている。
もし自分に決定権があるのであれば、同じように破れかぶれな賭けに出てしまうかもしれない。人間だもの「途中で諦めたくはない」と思ってしまうと思う。
とはいえ、撤退は諦めることは違う。撤退を次の成長へ向けての糧と考えることが出来るのであれば、撤退も悪いものではないと思う。10年も赤字を出し続けて将来性も薄い。さすがにもう撤退して良いと思うが、上層部に「闇雲に諦めない思考が強い人達↓」が半分もいると厄介だ。
諦めるって、こーゆうことらしい pic.twitter.com/H9c0ldjhoP Joooou1123
— 吹き出す画像 (@fukidasu_gazou) 2014, 5月 9
現実はこういうことばかりでは無いと思います。
撤退と諦めの違いをしっかり区別・判断できる人間になりたい。