ネットで気軽に情報発信できる時代とはいえ、嘘や誹謗中傷はいけないなぁ、と思います。誰でも見られるようにした情報には、責任がつきまといます。
あなたはその責任を負うことができますか?
また、もし自社製品に対する嘘や誹謗中傷を書かれたらどうするべきでしょうか。
ネットに散乱する嘘と誹謗中傷
ネットで買い物をする際、わたしたちが必ずチェックするものがレビュー・口コミなどのユーザーによる書き込み。信頼性が高いと思って必ずチェックしますよね。
みんなが事実に基づいて正直に書いてくれれば良いのですが、中には個人的恨みによる嘘や誹謗中傷を書いて、その情報が拡散して企業の売上にダメージを与えることもあります。
DHCの例
今から12年前、DHCが販売する健康食品に、国内使用禁止になっている酸化防止剤「エトキシキン」の混入疑いがあると公表。それに乗じたのが、かの有名な掲示板サイト「2ちゃんねる」。
読者数10万人もいる2ちゃんねるのメルマガで
「DHCは食品に枯れ葉剤を入れたりと、なかなかチャレンジャーな会社」
「11万人以上に枯れ葉剤を食わせた」
という内容が流れ、掲示板には3491件の書き込み、DHCの不買運動が広がりました。このことにDHC側が訴訟を起こし、賠償金は700万円という判決が下ります。
2ちゃんねるでメルマガを発行した本人は、ここまでの事態になることは想像してなかったことでしょう。ですが、ネットの世界は情報拡散力が大きいので、ちょっとした火種でもあっというまに大火事になる可能性が少なくありません。結果として、企業にダメージを与えることになったり、訴訟に発展することもあるのです。
書き込むことは良いが、その責任を負えるか?
もし何かの製品やサービスの表かで嘘や誹謗中傷を書き込んで、それが対象企業に知られてしまった場合、損害賠償訴訟を起こされることもあります。
ある弁護士さんの話では、ネットで購入する機会が年々増えているので、10年前であれば訴訟が起きても数十万の賠償金だったものが、今では数百万~数千万円の判決が増えているそうです。
もしあなた一人の書き込みが元でネット拡散・炎上してしまった場合、火種となった書き込みをした本人が賠償請求されるケースもあります。
このように、何気なく書いた口コミやレビューが、大きな訴訟に発展する可能性を秘めています。損害賠償を被りたくないのであれば、嘘や誹謗中傷はしないことです。匿名であれ、今の技術は本人を特定することも出来ますので。
もし嘘や誹謗中傷を書かれたら
では、もし自社製品に対して嘘や誹謗中傷が書かれていたら、どのように対処すべきか。
1.サイト管理者に削除依頼
ネットで嘘や誹謗中傷の書き込みを見つけた場合、サイト管理者に削除依頼をしましょう。サイト内の「問い合わせフォーム」や「運営者情報」から連絡先が分かります。
私も削除依頼をしたことがありますので、参考までに書式を記載しておきます。
件名:コンテンツ削除のお願い
本文:○○○○○様
はじめまして。○○○株式会社の○○担当の○○と申します。
御社が管理する以下URLのコンテンツ内のスレッド(日付、No.○○など)にて、
弊社製品に対する虚偽や誹謗中傷のコメントが書き込まれております。これらのコメントは事実と異なるものであるため、早急に削除をお願いします。
サイトURL記載
なお、○○年○○月○○日まで削除対応頂けない場合は、管理プロバイダー、管理サーバー会社、法務局などに違反申し立てを行い、然るべき対処をさせて頂きます。
私の場合はこれで2~3日以内に削除してもらえました。基本的にはサイト管理会社側も訴訟への発展は避けたいと思っている為、割と簡単に削除してくれます。
ですが、もしサイト管理者が分からない場合、連絡の返信が無い場合はどうするか?
Whois(フーイズ)検索で運営者を特定
サイト管理者に連絡しても返事が無かったり、サイト運営者や連絡先が書かれていないものも多数あります。
そういう場合は、サイトURLを利用してWhois(フーイズ)検索をしてみましょう。
ANSI Whois Gateway: ドメイン名 / IPアドレス検索サービスの検索窓に、問題になっているサイトのURLを入れると、ドメインの管理会社やサーバー会社、場合によっては運営者情報を見ることが出来ます。
各サーバー会社の多くがabuse(迷惑)対策部のようなものを設置しています。試しにこのブログでWhois検索してみると、管理者情報の詳細までは分かりませんでしたが、ドメイン運営会社のAbuse対策チームのメールアドレスを知ることができました。
↑ご覧の通り。サイト管理者が分からない場合は、Whois検索から得られるサーバ管理会社、ドメイン管理会社をわりだし、そこから削除依頼をサイト管理者に転送してもらうことも出来ます。
管理会社の電話番号やメールアドレスも記載しているので、そこから運営者の手がかりを追うことが出来ます。
それでもダメだった場合
もう何をやってもダメだった場合、法務省の人権擁護機関に被害申告をするか、第三者機関に相談することになります。
法務省へ直接被害申告
人権にかかわる申告の場合は法務省の人権擁護機関に相談し、法務省からサイト運営会社に削除依頼をしてもらえる可能性があります。
相談窓口は以下。ただし、相談やり取りは2回まで、返答も遅いのでご注意。
【リンク】法務省インターネット人権相談受付窓口
法務省が対応してくれるものはあくまで人権侵害に関わる場合の相談であり、昨年の相談件数が3000件を超えています。
件数も多いことから、早急な削除体制には応じてくれないケースがほとんどです。急を要する場合や売上被害などに関するものは、第三者機関に相談・依頼することをお勧めします。
誹謗中傷対策センター
第三者機関としては、誹謗中傷対策センターがあります。専門的で分からないことも説明してくれますし、有料になりますが対策や監視も代行してくれます。
お困りの人は、資料請求やメール問い合わせをすると良いでしょう。そこで裁判を起こすべきか、起こさずに済む案件なのかなど、対応するべきことが分かります。
【リンク】ネット上の嫌がらせ・風評被害対策は誹謗中傷対策センターへ
まとめ
ネット上では誰でも気軽に情報発信を行えます。ですが、それによって後に起こりうることまで考えず、無責任な書き込みによる嘘や誹謗中傷が後を絶たない状況です。
理想は、各々が責任を持って情報発信することです。しかし無責任な情報によって誹謗中傷を受けたり、人権が侵害されたり、企業の売り上げに大きく響くようなことがあれば、削除依頼や第三者機関への相談を利用して自分の身や自社の利益をしっかり守るべきです。
放置したままでは、相手はつけあがるだけです。受けた被害に対しては、けじめをしっかり付けるべきです。そうすることで、後に同じような被害を少なくすることができるのです。