南青山・表参道のちょっと奥まった場所に、自然食レストランで有名なたまな食堂があります。
震災後にゼロから再スタートし、現在は取材が絶えない繁盛店に成長しました。
成長のカギは、たまな食堂が行ったソーシャルメディア集客術でした。
ソーシャルメディアを利用した集客に注目
開店当初の来店客は1日数名程度。最初はイベント・チラシ・ウェブサイト・メールを使った集客を行っていました。しかし店舗が奥まった場所にあるというハンデもあり、イベント以外の集客が伸び悩んでいたそうです。
この状況の中、再スタートメンバーの飯島邦夫氏は「このままありきたりの広告をやっていてもダメだ」と感じ、ソーシャルメディアの集客を始めます。
たまな食堂のソーシャルメディア集客術
たまな食堂が行ったソーシャルメディア集客は、1度に沢山のことをせず、1つずつ徐々に基盤を広げていくというものでした。
最初はブロガーコミュニケーションとツイッターフォロー
最初に行ったのは、ツイッター上で自然食や無農薬野菜に関するツイートをするユーザーをフォローし、コミュニケーションを行いました。
加えて自然食に興味があるブログを探して、そのブロガーに割引優待する方法を試したところ、ブログやツイッターにお店の事を書いてくれる人が徐々に増加していったそうです。
会食は全て@たまな食堂
たまな食堂経営者会長は、IT企業経営層との会食を全てたまな食堂で行いました。
会食では「おいしくて体に良い自然食」を熱く語ったところ、アイフォーンを使いこなすIT企業経営層は、仕事とは違う食と健康を話題にできる題材としてソーシャルメディア上で広がっていきます。
さらに知人からインフルエンサー(ソーシャルメディアで影響力のある人)向けに食事会を開催。インフルエンサーがたまな食堂の事をソーシャルメディアで情報発信したことで、”波”がどんどん大きくなっていきました。
ソーシャルと現場の融合
飯島氏が次に行ったのは、「ソーシャルと現場の融合」でした。
開店当初はツイッターで本日のメニューを紹介していましたが、これに写真付きでツイートしてみたところ、「今日のメニューはおいしそう!」「食べに行きます!」という反応が増加。
このツイートを見た来客が、その料理写真をソーシャルメディアでどんどんアップすることにより、さらに「たまな食堂」が広まっていきました。
※以下参照ツイート。現在はフェイスブックページでも日替わりメニューや情報を毎日配信しています。本日6/15(土)のディナーは、アトリウム席に若干の空きがございます。おすすめメニューは「淡竹のロースト 麻婆ソース」「ジャンボマッシュルームのステーキ」など。マッシュルームは本当にジャンボなので、ぜひ体験してみてください! http://t.co/8fufAb8DBJ
— たまな食堂/たべごと教室 (@_naturalfood_) June 15, 2013
ソーシャルメディアでクレーム対応
開店中はスタッフが随時ツイッターをチェックし、「料理がなかなか来ない」「店員の態度が悪い」等の来店中客と思われるツイートを見つけると、謝罪してデザートをサービスする等の対応を行いました。
さらに、ツイートを厨房に貼出し、朝礼で伝える等を徹底して行ったところ、徐々にサービスが改善され評判が高まり、ソーシャルメディア上で批判やクレームが少なくなっていったそうです。
歩く広告塔”メタボに悩むクマ社長”になる
飯島邦夫
「自分が歩く広告塔になって、
自然食品事業を盛り上げられないかと考えた時に思いついたのが、
”メタボに悩むクマ社長”のフェイスブックページです。」
2011年9月、自然食品事業とたまな食堂を盛り上げる広告塔になるべく、
メタボに悩むクマ社長”のフェイスブックページを開設。
「メタボおじさん×玄米採食プロジェクト」として、自然食を食べてダイエットに挑む様子を発信。
ダイエットの経過や、その日食べたたゆま食堂の料理に反応が次々とあり、結果的に集客に繋がっている。クマ社長は10kg以上のダイエットに成功したそうです。
ソーシャルメディア活用は始まったばかり
ちょっと前までの日本は「良い物を作れば売れる」の時代でしたが、現在では自分から発信して集客出来ないと売れない時代になっています。ソーシャルメディアを上手に活用すれば、コストを抑えつつも効果の高い集客が可能になります。
業種を問わず、時代の流れを感じるアンテナを張り巡らせて、時代に合ったソフトを使いこなすスキルが求められています。
日本でソーシャルメディアを利用した集客は、まだ始まったばかりです。
ソーシャルメディアの媒体や使用方法も目まぐるしく進化しているし、可能性は今後も無限に広がっています。