やりたいことは無いの?「好きなことをしなさい
わたしにはまだ子供がいないが、自分がかつて子供だった経験から書かせて頂く。

自分が進路を決める際、親から「やりたいことは無いの?」「好きなことをしなさい」と言われたことがあるが、自分はこれと言って何も無かった。考えても思いつかなかったという方が正しいと思う。

その時は「公務員」と言ったのだが、それは親が口癖のように「公務員は安定してて良い」と言っていたので、口から「公務員」としか出なかった。かといって公務員になることを想像してもワクワクするわけじゃないし、好きでもなかった。「働く」「仕事をする」という意味も理解できていなかったこともある。全てが漠然としていた中で、親の口癖の影響から出た言葉だった。

選択肢を見せられていなければ子供は分からない

子供が親から「やりたいことは無いの?」「好きなことをしなさい」と言われても、子供が持つ選択肢は、親がどういうものを見せて、聞かせてきたか次第だと思う。私の場合、親の口癖が「公務員」だったことで、自分の世界にある仕事は「公務員」しか無かった。

もし私が家を出る大学生になるまで「こういう職業はこういう仕事をしていて、ココが楽しいんだ」とか「この仕事は一見地味だけど、こういう風な見方をすれば違った世界が見えて楽しいんだ」など、いろんな職業についての楽しみ方や見方を、親から教わっていたとしたら、どうだったろう?

親から「やりたいことは無いの?」と聞かれたら、「アレもしたい、コレもしたい。好きなものが沢山ある!」と言う子供になっていたのかもしれない。そして、その中でどれが1番自分が楽しめるのかをじっくり考えたり、体験しに行ったりしていたかもしれない。そして就職時期には「この仕事が楽しくて好きだ」と思うものに巡り合えていた可能性は高かったと思う。

ところが、将来の仕事の為になるような色々な選択肢を見せていない親が、「やりたいことは無いの?」「好きなことをしなさい」と言うのはちょっと無責任なんじゃないかと思う。

子供は働いていないから、仕事がどういうものかあまり理解していない。もしその言葉を言うのであれば、仕事がどういうものか、いろんな選択肢や違った角度からの見せ方を予め教えた方が良いと思う。その為に、親は子供よりもたくさん勉強をすべきだと思う。

好き・楽しい=無限の力

これから生まれる子供は、経済的にもっとも厳しい時代に巻き込まれる。今はまだかなりマシで、これから30年、50年かけて全体的にはもっと悪くなる。そういった世界を強く生き抜く為には「自分はこの仕事がしたい!この仕事が楽しくて好きだ!」という情熱が不可欠だと感じている。

人間は、好きで楽しいと感じるものには、無限の力を発揮できるからだ。無限の力を仕事に注ぐことが出来るような人間になれば、どんな状況でもたくましく生きていけるはずだ。