なぜ働かなければいけないか
先日フェイスブックで『「なんで働かないといけないんですか?」と聞いた学生への、とある経営者の回答。』というエントリーが回ってきたのだが、面白い問いだなぁと思った。

社会に出れば「働くことが当たり前」とされているから、このことに疑問を持つ人は多くはないだろう。しかし、当たり前とされていることに「なぜ」を抱いて、言葉で説明できるようになることは大切だと思う。それは自分と他人の知識や表現力を深めることに繋がるからだ。

<スポンサーリンク>

”ある経営者”が答えた「なぜ働かないといけないか」の回答は以下の6つだった。

  1. 働くことは、お金をもたらす
  2. 働くことは、明確な目標をもたらす
  3. 働くことは、出会いをもたらす
  4. 働くことは、学びをもたらす
  5. 働くことは、信用をもたらす
  6. 働くことは、自信をもたらす

詳しくは元記事を読んで頂きたいのだが、これだと「なぜ」への問いには答えられていない。

これらは働くことで得られるメリットとして考えれば理解できる。たしかに学生時代よりお金も増えたし、学び・自信・信用をもたらしてくれた。会社に入るといろいろな出会いがあり、いろいろな考えを持つ人と話し人脈も増える。会社側から目標も与えられ、達成できると嬉しさも感じる。

だが、これらは「なぜ働くのか」に対する回答ではない。「なぜ働くのか」の疑問への核心は突いていない。

「なぜ働くのか」の答えは簡単だ。生きる為だ。

もし私が質問した学生に回答するのであれば、「生きる為です。生きなくていいなら、働く必要は無いんですよ。生きていくお金が十分あるなら、無理して働く必要はありませんよ。」と返信するだろう。

だがこれだけしか書かないと、まるで重箱の隅を突いた性格の悪い人間になってしまうので、もう少し突っ込んで考えてみる。


私が思うに、この学生が「なぜ働かなければいけないのか」と考えたのは、単純に”我慢して働くこと”がイヤだったのではないか。

学生にとって「社会に出て働く」というイメージは、つまらない上司との付き合い、自分の好きなことが出来なくなる、責任の重さ、不毛な通勤時間、残業、休日出勤、ブラック企業etc・・・というネガティブな面もある。

だから今回の問いを言い換えれば「なぜ好きでも無く楽しくも無いことを我慢しなければいけないのか?」という疑問だったのではないか。

実際、私が就職する際には同じようなことを考えていて、「もう遊びの時間は終わりか。これから会社に流されて生きていくのかぁ。自由な時間も減るなぁ。」と思っていたものだ。就職して13年経つが、今でも「楽しく無いなぁ、行きたくないなぁ」という思いを押し殺しながら出勤して仕事をしている。”これが働いて生きることなんだ”と、自分の中に自然消化させている。これが当たり前の日常になっている。

「仕事が楽しく無いなぁ」とぼやくと、「それが働くってことなんだよ」と言い返してくる大人は山ほどいる。本当にそうなのだろうか。

好きな仕事だと働いている感覚は無い

私の周囲には、自分の好きなことを仕事にしている人がたくさんいる。その人達は働いているという感覚は無く、毎日楽しく遊んでいる感覚に近いらしい。とはいえ、お金を得る為の仕事だから辛いこともあるが、苦痛では無いと言う。

こういう人たちを見ると、同じ「働く」でも意味が違う。好きな仕事をしている人は”遊んでいる感覚”だが、今好きでもない仕事をしている私の場合は”我慢”している感覚である。

だから、もし「なぜ働かないといけないか」と質問した学生の真意が「なぜ好きでも楽しくも無いことを我慢しなければいけないのか?」だったのなら、私はこう答えよう。

好き、楽しいと感じられないことをして働いている人は、自分が好きで楽しいと感じられる事を仕事に出来なかった人、見つけられなかった人だからです。または、そういう考えを持っていない人です。

この場合でも、生きたい、生きていかなければならない、これから出来るだろう家族を養っていかなければならないから、好きでも楽しくも無い仕事でも、我慢して働かなければいけません。

しかし、もしこういう生き方に疑問を持つのであれば、自分好きなことや楽しいと思える事を一生懸命探して、生きていく仕事に出来るよう必死に行動すると良いと思います。

それが出来るようになれば、今あなたが抱いている疑問は消えます。』