ブラック企業は死後になる

先日、同じ会社の後輩から泣き電話がきました。その内容が、

俺、仕事を積み上げられまくって年間50日しか休んでないんですよ!そのうえ、4月からさらに大きい施設までやらされることになるんです。

なのに給料は全然変わらない。
今やブラック企業ですよ!どうすればいいですか?!



「嫌なら辞めるしかないんじゃない?今の状況にいるのは、自分の選択の結果なんだし。」

って返答しました。忙しい状況を会社のせいにしても、それは自分が選んだ道。はい、これが真理です。

成熟市場の業界では、どうしても価格競争は避けられません。価格競争が激化すると、見た目の売上高は多いように見えても、飯の種である利益はものすごく低くなっていく。例えば年間200億の売上があっても、粗利が4~5億くらいな事もあります。

これって利益率2%ですよ。15年くらい前であれば、利益は5~10%ほどあった業界も現在ではこんな状況。創業数十年経っている会社の場合、どこも利益率はどんどん低下しているんじゃないでしょうか。

数年前までは「コスト削減」「効率化」が盛んに叫ばれていたと思いますが、それも落ち着きました。もはやコスト削減も効率化も限界に達している。じゃぁ次に、どうすれば会社はどうやって生き延びていくか?となれば、新規事業を立ち上げるか、人件費を削るしかないんですよ。

その結果が電話してきた後輩の状況です。社員は減って業務量が増えていく。毎日帰りも遅くて休みもほとんどなく、給料も変わらない。

でも仕方ないんですね。利益が少ないんだから。

会社はブラック企業になりたいわけじゃない

ブラック企業が当たり前になる

会社側はブラック企業になりたいわけじゃなく、社員に給料を払うためにブラックにならざるを得ないんです。でも、食べて生きていくためにその仕事をするしかない状況であれば、ブラックだろうがやるしかないんですよ。

生きる為に仕事をしているだけ。こういう会社を「ブラック企業」とマイナスなイメージで位置付けするのはおかしいですよね。

成熟市場で仕事をしている以上、価格競争になって利益率低下→一人当たりの業務量増加という流れはどうしても避けられません。日本の場合はほとんどの業界が成熟市場と化しているので、一人当たりの業務量が増えていくのは自然の流れだと思います。

しかし「ブラック企業」とマイナスレッテルを貼って責められても、会社側はどうにもできません。成熟市場にいる会社がブラック体質を止めて一人当たりの業務量を減らせば、社員の給料を減らすしかないんですから。

業務量減らして給料減らすか? VS 業務量増やして給料を維持するか?

という場面にさしかかっている会社が多いんじゃないでしょうか。

とはいえ、給料減らせば社員は文句を言うし働くモチベーションも下がる。逆に給料を維持するためには一人当たりの業務量を増やすしかない。どっちの選択をしても給料は上がることは無い。すべては会社が生き残る為。結果、多くの会社がブラック企業になる。ブラック企業体質が当たり前の社会になって、いずれは死語になる。

今の日本の状況を考えると、おそらく今後はこういう展開になるんじゃないかな?

でも、ブラック企業は別に悪いことしているわけじゃないんですよ。「仕事をやらされてる」と思うから「ブラック企業」という言葉が生まれるのであって、その仕事が好きで楽しければブラックにはなりませんよね。その会社で働き続けることを自分で選んでいる人の集合体を、ブラック企業って言うのはおかしいと思うんですよ。

もし今の状況が嫌なら、変えられるように自分が努力するかないのです。