温泉宿側は意外と気付いていないんじゃないかな~と思うのが、「温泉宿に顧客が求めるもの」。

私たち客側にはアレコレと目に付いて気になっていたり求めていることが、温泉宿側が完全に理解しきれていなかったり、従業員に教育しきれてないと思われる部分は多々あるんじゃないかと思う。

事実、今年はハイクラスと言われている温泉宿(1人1泊25,000円クラス)に12カ所宿泊たが、私が「ここは完璧だなぁ」と感じた宿は1施設しか無かった。

残りの10の宿は、部屋・温泉・対応に関して「まぁこれくらいはいいか」と見過ごしている、または気付いていないと思われる部分がある。
温泉宿側には「大したこと無いだろう」と思っている(または気付いていない)ものが、私たち客側にとっては「大して残念」なのである。

ちょっとしたことだけど「残念」と感じてしまうところ

では完璧じゃなかった10のハイクラス温泉宿で「残念」と感じた例を以下に挙げておく。
もし温泉宿のオーナーが読んでいるのであれば、参考になれば幸いだ。

  1. 部屋の掃除が行き届いていなく、部屋の隅、ライト、ちょっとした部分に埃が積もっていることがある(これが1番多い)
  2. 脱衣場のドライヤーがしょぼい、埃だらけ(こういう宿も多い)
  3. 洗面桶、シャンプーなどの道具・アメニティがしょぼい(これも意外と多い)
  4. 地物じゃない料理を出された時
  5. 料理運びが遅い(やたら間が空く時がある)
  6. 仲居の愛想が良くない(悪くは無いが物足りない)

1.部屋の掃除が行き届いていなく、部屋の隅、ライト、ちょっとした部分に埃が積もっていることがある

まず部屋の掃除がしっかりされていないのは一番のアウト。

大まかな部分は掃除はされているのだが、ちょっと奥まった部分や縁の部分に、「明らかに数日掃除をしていないだろう」という部分を見た瞬間、

「あ~、ここは教育が甘いな」と思ってしまう。

宿側は「そんな細かい部分見ていないだろう」と思っているかもしればいが、客は意外とこういう部分こそしっかり見ている。
一泊1万円ほどの温泉宿なら「まぁ仕方ないか」と思うが、2万円を超える宿ではこれはやっちゃいけない。

高い料金を支払って宿泊する客ほど、「そこに行けば非日常・非現実が味わえる」という期待値が高い。
この期待値が高いほど、掃除が行き届いていないなどの日常的な甘さに直面した瞬間、現実に引き戻された感覚になって一気に冷めてしまう。

2.脱衣場のドライヤーがしょぼい、埃だらけ(こういう宿も多い)

これも多い。
ドライヤーが数百円~1000円ちょっとくらいと思われるドライヤーだったり、吸気口が埃まみれ、先端パーツが無くなっている、最悪には壊れていることがある。

別にヘアサロンで使っているような豪勢なドライヤーは求めていないし、壊れていなくて綺麗ならそれだけでも良いんだが、意外とここを見落としている宿が多い。

3.洗面桶、シャンプーなどの道具・アメニティがしょぼい

高い料金を払っているのに、いかにも安い洗面桶、椅子、安いシャンプー・リンス・ボディソープがあると、
「これじゃぁ家で使ってるものの方がマシだわ」と思いガッカリする。

大事なことなのでもう1度書くが、客は「そこに行けば非日常・非現実が味わえる」と思って泊りに来ている。

4.地物じゃない料理を出された時

山に囲まれた温泉宿なのに、料理でなぜか海の幸(刺身)が出されることがあるのは残念だ。

客側はその土地で採れた新鮮な食材料理を求めているのであって、魚介の刺身を求めているわけではない。
山に囲まれて海から離れた土地で味わう刺身の味はたかが知れていると、食べる前から予想が付いてしまう。
もし海沿いに住んでいる客がこれを味わったら、さぞかしガッカリすることだろう。

良い例としては、湯川温泉 山人(やまど)
ここでは料理に魚介は出さず、基本は地元食材の新鮮な野菜と鶏・豚肉食材を利用している。
魚が出るとしても、川魚のみ。魚介系は一切出ない。
特に野菜料理はどれも素晴らしく、これを味わうためだけでも「また行きたい」と思ってしまう。

5.料理運びが遅い

料理運びの間が遅いのは、12宿中2宿くらいと少ないが、これは非常に良くない。

また、デザートを持ってきた時に全ての料理皿を下げるのは基本だと思うんだが、これが出来ていない仲居もいる。

6.仲居の愛想が良くない(悪くは無いが物足りない)

どこの仲居も愛想が悪くはないが、必ずしも良いとは言えない。物足りなさを感じることもある。

その物足りなさは「おもてなしの心」である。

客は温泉宿に行って「もてなされる心」を求めているのである。
話が下手だと分かる仲居でも、何とか頑張ってもてなそうとしてくれる様子には心が打たれるし、「良い人だったな」と思えるものである。

基本は「掃除」「地域色」「おもてなしの心」

主に6項目に分けて客が温泉宿に求めるものを書いてきたが、一番大事なのは「掃除」、次に「地域色」と「おもてなしの心」だと思う。

泉質は努力で変えられないが、掃除のクオリティ、地域色を出す、おもてなしの心は努力で変えられる。
どんなに良いロケーション、温泉が良くても、これらが未熟だと非常にもったいなく、リピータを逃してしまう殊に繋がる。

最後に、私が今年宿泊した中で「ここは完璧だ」と思った唯一の温泉宿は、黒川温泉 里の湯和らくのみ。(和らくに泊まった感想

のこり11の温泉宿は、どこかしら手抜き・油断・抜けた部分があった。
宿泊客全員が宿側に正直に感想を話してくれれば、宿側は改善点にも多く気付けて良い宿になると思う。
だが残念ながら客の9割は何も意見せずに、ただリピートしなくなるだけである。