私の妻は神経内科専門医です。妻が普段どんな仕事をしているか、どんな患者さんと接しているかに興味があり、2013年6月23日開催「第2回 みんなで考える多発性硬化症フォーラム in 盛岡」に参加して来ました。
多発性硬化症(MS)とは
MSとは、Multiple(多発する)Sclerosis(硬化)の頭文字を取ったもので、日本語では多発性硬化症といいます。脳・脊髄と視神経の神経線維は、神経同士を絶縁する働きのある、ミエリンという脂肪質のカバーで覆われています。
MSは、ミエリンのあちこちを自分で壊してしまうことによって起きる、脳・脊髄、視神経の病気です。そのために神経の情報が上手く伝わらなくなって、様々な症状が出てくるのです。伝染する病気ではありません。
「多発性硬化症」という耳慣れない病気を聞くと、一般的には「難しそう。大変な病気そう」と感じることが多いと思います。実際、私も今回のフォーラムに参加するまでは同じように思っていました。ネットで調べると「難病」というキーワードと一緒に表示されることも少なくありません。
しかし実際には、普通に生活を送っている人や、リハビリによって生活を取り戻している人が沢山います。
今回のフォーラムで講演されたNPO・MSキャビン理事長の中田郷子さんも、MSでありながらリハビリで生活を取り戻しています。現在は多発性硬化症の情報提供活動を精力的に行っています。
情報は薬にもなるが注意が必要
【中田郷子さんの講演から】
情報も治療薬の一つです。
インターネットでも様々な情報が発信されていますが、注意しなければならない事があります。1.発信年月日
MSの治療は日々進歩しているため、古い情報には注意する必要があります。2.著者・記載者
情報発信をしている著者・記載者が、医師、患者、それ以外の人かで情報の視点を変える必要があります。どちらが良い、悪いという意味ではありません。
インターネットによる情報インフラが整い、ソーシャルメディアやスマートフォンが普及し、誰でも簡単に多くの情報を収集出来るようになりました。しかし、収集した情報は本当に正しいものなのか?どの情報を拾って、どの情報を捨てるべきかは、情報収集スキルによります。
病気にかかってネットで情報収集する場合、古い情報や間違った情報も多く混じっています。専門医とNPO法人(あれば)から情報収集することが確実です。
私達の見方や姿勢も大切
【中田郷子さんの講演から】
MSにかかってもお勤めに出たい場合、職場告知をどうするかも考える必要があります。
面接を受ける場合は、診断書を提出することがカギです。
病気内容を勝手に調べられて、マイナス要素として受け取られる事が多いからです。
医師から「普通の人と同じように働ける」という診断書があれば、マイナス要素をクリア出来ることがあります。
もし私が今回のフォーラムに参加していなければ、「MS=難病」という情報から得られるイメージで止まっていたでしょう。
しかし講演者の中田さんを見ると、姿勢もしっかりしていて、とても明るく聡明さを感じました。自身で海外MSサイトを翻訳してサイトを立ち上げ、NPO法人の理事として活動する姿には尊敬の念を抱きます。MSに対する私の見方は大きく変わりました。
ネットや人から聞く情報や、自分の目で実際に見ていない状態で判断するべきではありません。判断してしまうのではなく、「まだ分からない」で良いのです。今回私が体験したように、自分の目で見て聞くと、物事に対するイメージが大きく変わる事があるからです。私達に必要なことは、「正しい情報の収集と、自分の目で見て耳を傾ける姿勢」ではないでしょうか。
【幸呼来】チョイワヤッセ!
ネット環境があれば、買い物・仕事等、外出しなくても生きるのに必要な事は全て出来るようになりました。
しかし自分の足で現地に出向いて、実際に見たり聞いたりすることから得られる”体験”は、ネットから得ることは出来ません。
情報が溢れかえる現代では、情報をまとめるスキル(キュレーション)が益々大切になっていくと言われています。だからといって、家でネットや本を読んでいるだけではなく、外の世界に出る行動力と”体験”するスキルも大切になっています。
追加情報
多発性硬化症のアメリカ大統領という設定で描かれ、病気についての誤解や偏見を解いた「ザ・ホワイトハウス」というアメリカドラマが評価されているようです。興味が湧きます!