うなぎ屋・善で食べた記事を書いてから、土用の丑の日を待たずに、鰻屋・善におひつまぶしを食べに行きました。すんごく美味しかったんですが、今日は手放しで感動してはいられない事実を知ってしまいました。
日本のうなぎは既に詰んでいて、息を引き取る状態だったようです。
うなぎは詰んでいる
この件、日本人が悔恨して終われば済むという話ではないんだね。自分も知らなかったんですが、かつて日本の鰻養殖業界が養殖のためにヨーロッパウナギの稚魚を輸入しまくった結果、あちらのウナギが先に絶滅寸前の状態になり、2007年から厳しい漁獲規制を敷いているけど資源回復の見込みが立たないとのこと。【参考リンク】ニホンウナギがどれぐらい終わっているのかについての図
参考リンクを見て頂ければ分かると思いますが、日本は自分の国の食文化を追及するあまり、他国の食資源を食いつぶしてしまっていたのです。知らなかった。ショックを受けました。
日本人は、世界の7割のうなぎを消費しているそうです。うなぎはバブル期前までは高級食であり、一般人にはなかなか口に入るものではありませんでした。バブル期以降は日本人の懐が温かくなり、さらにスーパーやコンビニで格安販売され、うなぎが消費されるようになりました。
短期間での薄利多売によって、50年前は230トンも獲れていたうなぎが、現在はわずか5トンになってしまったそうです。商売と利益追求に走った乱獲と大量消費によって、私たちはうなぎを絶滅に追い込んでいたんですね。
第3のうなぎ”ビカーラビカーラ”
近い将来、第3のうなぎ”ビカーラビカーラ”が日本人の口に入る日が来るそうです。第3のうなぎを説明する前に、変遷をおさらいしておきます。
第1のうなぎ
ニホンウナギのことであり、シラスウナギがどんぶり一杯87万円から250万円に高騰したため、一旦第2のうなぎに変更する動きへ。現在は日本で養殖技術を研究中だが、うなぎの生態は未知な部分が多いため、実用化は2020年以降と言われている。
第2のうなぎ
ヨーロッパウナギ。日本向けへの乱獲の影響で、2009年以降ワシントン条約で輸入制限がかけられている。
そして未来、第3のうなぎ
ビカーラビカーラは、インドネシア・ジャワ島に生息するうなぎ種であり、ニホンウナギの4~5倍の大きさ、値段は約半値(現在では徐々に価格差がなくなってきている)。肉も多く取れて味はほとんど変わらず、日本向けに脂がのってやわらかくなるように餌の改良を進めているそうです。今年~来年には、日本でも食べられるのではないかと言われています。
ニホンウナギと違う大きな利点は、養殖が出来るので安定供給が期待出来ることです。
”第3のうなぎ”と呼ばれているビカーラビカーラ
【出典】agustiono-aquarium.blogspot.jp
直視して行動する習慣を付けるべき
「うなぎ食=日本文化」が強く根付いてしまっている中で、第3のうなぎがすぐ日本人に受け入れられるかが心配です。しかし受け入れなければ、うなぎは間違いなく絶滅する状況。
また、ビカーラビカーラは養殖できて安値とはいえ、スーパーやコンビニでの格安大量消費の波に乗って、ニホンウナギのように食いつぶしてしまわないかが懸念されます。
第3のうなぎが、ニホンウナギの絶滅を解決する手段になるかは、私には正直わかりません。
「この資源食いつぶしちゃったから、次はあの資源にしよう」といった考え方は、何の解決にもならないように思います。宇宙人襲来系の映画ストーリーで、「自分たちの惑星がボロボロになっちゃったから、別の星に資源を求めに来た」というものがありますが、程度の差こそあれ、やっていることはほとんど一緒のように思えてしまいます。
「うなぎが高騰」というニュースが流れた時点で、状況を詳しく知ろうとすれば良かった。ニュースを見ていても、殆どは他人事のように考えてしまう習慣は無くさなければなりません。
今はネットやソーシャルメディアも発展しているので、個人で情報収集することや、情報発信・拡散する力は以前よりも格段に上がっています。身の回りの出来事に直視出来るよう、これらのツールを最大限に利用して、対処・行動する習慣を付けることで、守れるものは沢山あります。
【参考リンク】うなぎネット
さっこら~ちょいわやっせ
日本のうなぎ消費量のうち、うなぎ屋や料亭で消費されるのは全体の3割です。残り7割はスーパー、コンビニ、ファーストフード系列での消費です。うなぎ屋さんはうなぎ専門なので、うなぎに生活がかかっています。
私は今後もうなぎ屋さんを応援したいので、うなぎ屋さんで食べたいと思っていますが、絶滅危惧種と聞くととても悩ましいです。うなぎ屋さんに客が入らなければ潰れてしまいます。うなぎを守るか、うなぎ屋さんを守るか・・・。とりわけ、スーパーやコンビニは、うなぎ以外の販売製品が沢山ありますから大丈夫だと思います。