※風立ちぬのネタバレが少しだけ含まれています。
宮崎駿の「風立ちぬ」の1シーン。結核におかされた菜穂子が富士見の療養所で、外で毛布にくるまって集団で寝ているシーンがあります。
「いったい何をしてるんだろう?」と思ったのは私だけではないはずと思ったので、情報をシェアしておきます。
昔は結核の治療法が無かった
【出典】富士見高原病院 病院祭 2011
以前結核の療養所は、サナトリウムと呼ばれていました。
この頃は結核の有効な治療法が無く、山のきれいで冷たい空気を吸うことが、治療に繋がると信じられていました。
大気安静療法といって、栄養を取ってきれいな空気を吸って安静にするしかなかったそうです。
これは現在でいう民間療法のようなもので治る人もいましたが、それはその人の体力次第でした。
現在は抗結核薬(抗生物質)が開発されて治る病気になりました。結核で死亡する心配は少なくなったのです。
現在の日本は「結核中進国」
ところが近年、結核患者が爆発的に増加しています。
若い世代で結核に対する抵抗力(免疫)をもたない人々が増えたこと、診断の遅れなどによる 集団感染・院内感染による増加が原因です。
現在結核の羅漢率は、5000人に1人。この割合は年々増加しています。
結核の治療法
結核はほとんどが薬による治療です。
従来の薬に対する耐性菌が出てきたことから、複数の薬を飲む必要があります。症状が強い場合は入院が必要です。薬を飲んでも結核菌がなくならない場合は、稀に手術が行われます。
完治まで長くかかる
結核は早期治療した場合でも、完治するまで最低半年はかかります。
結核の予防
子供の予防法はBCGワクチンが一般的です。成人の場合はBCGワクチンの有効性が確認できていないので、接種を行っていません。
よって、自己免疫力を維持するために、食事・ストレス減少・睡眠確保が予防法になります。
【参考リンク】大塚製薬「結核」-古くて新しい病気- 、Allabout結核予防
幸呼来
映画を見ている最中、体が弱っていく菜穂子を見て「今なら治るのに(涙)」ともどかしい思いをしました。現実でも、今まで菜穂子のような素敵な人が結核で命を落としてしまっていただろうと考えると、残念で仕方ありません。
今自分が生きているのは、多くの犠牲者と先人の研究のおかげなんだなと思いました。