2014年度の国立大学付属病院の赤字合計額は、全体で54億円にも達したそうです。
国立大学附属病院長会議は22日、2014年度の国立大学附属病院の収支見通しを発表した。それによると、消費税率8%への引き上げに伴う42大学43病院の負担額は54億円になると試算した。同日の記者会見で山本修一・常置委員長(千葉大医学部附属病院長)は、「半数以上の病院で1億円以上の持ち出しが生じている。いくら経営努力しても赤字になる」と述べ、増税に伴う十分な補てんを求めた。
赤字の原因となっているのは消費税の増税。
病院側は患者に消費税を請求できないんですよ。というか、「医療請求が消費税が込み」となっているんです。
それに対して、医療材料の購入は消費税がかかってくるんですね。消費税が増税されれば、その分病院の負担が増えていく一方になっている図式です。
厚生労働省も消費税増税に合わせて診療報酬基準を上げれば良かったのですが、どういうわけか初診料含めた数項目しか診療報酬基準が上げられなかったんです。
つまり、消費税増税になっても患者に請求できる金額は変わらず、医療のためのコストだけ上がっちゃったんですね。
消費税10%になれば医療費が大幅に上がる
千葉国立大学附属病院だと、2014年度の赤字額は10億円。
このまま赤字が続けば病院が倒産してしまうばかりでなく、小さな病院の赤字も深刻で「吸収合併してもらいたい」と考えている病院も多い状況なんだそうです。
あと2~3年もすれば病院側のコスト削減するための経営努力は限界に達するでしょうから、消費税10%に上がったと同時に診療報酬も大幅に上がることでしょう。
今一人当たりの年間医療費は、60歳で平均35万円、70歳で70万円、80歳で90万円です。
医療の質を維持するには病院の赤字を解消する必要もあるうえに、今後老人も増えていくことから、3年後に一人当たり5万円~10万円の医療出費が上がると予想されます。
長期的には「3割負担」も見直されて「4割負担」になる可能性も出てきますね。
これからますます「いかに病気せず、病院にかからないか」が大事になる時代になりそうです。