レッドクリフ、ライフオブパイ、アイアンマン2のVFX(CGなどによる視覚効果)を作っている会社が次々に倒産しているそうです。
最近の映画は予算も莫大なものが多くCGが多用されているから、VFX制作会社は儲かっているかと思いきや現実は違いました。
下請け町工場と同じ
私には華やかなイメージだったVFX制作会社ですが、仕事の流れは下請の町工場とほぼ一緒だった・・・というか、もっとタチが悪かったのです。
最近の映画は、制作にかかる予算の多くがVFXに使われる状況です。よって、少しでも費用を安く抑える為に固定額の入札制度にしているようです。
おまけに入札時の仕様は曖昧で漠然としているものばかり。映画制作が進むにつれて、「あれ追加して、これ追加して」といった度重なる要望に応えなければなりません。固定額の入札だから、どんなに追加費用が発生してもVFX会社は請求することが出来ないんだとか。
こんな状況だから、VFX会社は月に70時間以上の残業をするのが当たり前になっているし、給料もそんなに高いわけではない。入札で安く請け負わざるを得ないから、会社の利益だってそれほど高くはありません。中堅どころのVFX会社は、自転車操業になっているそうです。
実際、大ヒットしたタイタニックのVFXを請け負った制作会社は赤字だったようです。
低賃金化と税控除対策が倒産の原因
おまけに最近は、中国やシンガポール・インドといった低賃金国へVFXのプロジェクトが流出しています。さらにカナダやロンドンでは、VFX会社の仕事に対する費用の15~50%を政府が補償するという税控除対策を行っています。
結果としてVFX会社は、人件費コストが安い国に支店を出さざるを得ません。ところが中小規模のVFX会社は海外進出する資金がありません。
さらにディズニー等の大手映画制作会社は、自社の資本にVFX会社を抱えています。バックの資本が大きいVFX会社は低価格で入札できます。
こうして中小VFX制作会社は入札で負けて、次々に倒産に追い込まれていくのです。
VFX会社も製造販売業
こうしてみるとVFX会社の状況は、生産拠点を海外に移行しているユニクロなどの製造販売業と何ら変わらないんですね。先進国内の仕事って、こうやってどんどん減っていくんですねぇ・・。
私が高校生くらいから知っている、ILM(Industrial Light and Magic)という有名なVFX制作会社がありますが、ここもディズニーに買収されています。低賃金国へのプロジェクト流出を考えると、将来的にはどうなるか分かりません。
今日の繁栄は未来の繁栄とは限りませんね。世の中はどんどん変化していくものです。